和泉石材店

BLOG 「一言石句」

縫い目ブーム?

DATE 2021.06.11

nuime21051.jpg最近の車の内装を見ていると、シートやダッシュボードがやたら縫い目だらけになっています。縫い目=手仕事の象徴=品質感・高級感?みたいな単純な図式なんだと思いますが、普段石材を扱っている人間からすると、ちょっと信じられないのです。継ぎ目を無いようにするため、巨大な石をできる限り無垢で使うのが石屋の考え方。以前運んだ石は約350kgの塊で、2分割すればどれだけ楽だった事か。
写真は2005年式レンジローバーのダッシュボード。1箇所だけ縫い目があります。右側のメーターフードの局面を貼り込むにはここらで継ぐのが妥当だと思います。現代の車だとここで継ぐ必要が無くともと見せる為に縫い目を付けちゃうのです。そういう必要性の無い装飾としての縫い目が相当受けているのです。

nuime21052.jpg写真は同じく2005年式レンジローバーのステアリングです。何と1枚の革で出来ています。必然的に縫い目は最低限の場所だけしかありません。コストがかかるのは縫い目だらけにする事ではありません。こうやって1つの材料で縫い目を無くして作る事なんです。コンパクトカーから高級車まで、縫い目だらけの内装は大受け。せっかく生産者がキズの無い革を出荷しても、お客の手元には縫い目だらけで届くのです。分かりやすい高級感が最優先な時代を反映した悲しい現実。石屋の世界にも確実に忍び寄って来ていまして、より少ない材料で大きなお墓に仕立てることばかり考えている石屋がいるのです。薄い材料でパンパンに膨らんだお墓は見ていて悲しくなります。少なくとも和泉石材店はそっちの側へ行かないようにしなくては!