竹木舞
DATE 2019.03.16
この写真を見て懐かしいと思う方は割の年配の方でしょう。先日私たちの家の現場で行われた竹木舞の施工風景です。施工は四日市の左官屋さん「蒼築舎」さんがおこなっています。若手職人さん達がテキパキと仕事をこなしていますが、土壁という作業内容からすると、信じられない若手ぶり。伝統的な仕事こそどんどん若い人に作業してもらわないと業界の未来はありません。私たち石材業界も見習わなくては!
闇夜に浮かぶ竹木舞の壁。後ろのコンクリートの壁との対比が面白い。柔の土壁、剛のRC壁。この建物のコンセプトが良く分かる写真です。普通ならコレが逆になります。わざわざ土壁を外に、RC壁を内側にした事がミソ。コテコテの和風建築に土壁ではなく、こういう尺度で設計した建物でも土壁が出来るという事。現在主流になりつつある高気密高断熱の住宅に対して何のメリット・デメリットがあるのかという点ですが、私たちは下記のように考えています。
●メリット
- 最終的に土に還る素材である事。服や食事で例えるなら「オーガニック」というやつです。服は絶対オーガニック、トマトは無農薬でないと駄目と叫ぶのに、家は新建材丸出しでは全く駄目だと思うのです。
- 両親と同居するにあたり、昔の住まい方の片鱗をどこかに取り入れたかったのです。団塊の世代である両親は、昔土壁を自分たちでこしらえたそうです。竹を編んで土を練る。そういう記憶を残す為の場所として土壁は有効なのです。
- 壊れても直ぐ直せる。これこそが土壁の最大のメリットだと思っています。仕上げの精度だとかそういう事を度外視すれば、こんな直しやすい仕上げは他にありません。ガリガリになったら塗れば良い。究極のDIY仕上げ。
●デメリット
- 断熱性能・気密性能は確実に新建材に劣ります。そこを気にされる方は土壁には手を出さない方が賢明です。私たちの場合、平屋で延床面積が40坪程度ですので薪ストーブ1台で全館暖房出来てしまいます。おまけに薪の調達には困らない事が分かっています。そして夏はというと、庇が長く出ていまして、夏場の冷房は大して問題にならないと思います。そもそも光熱費は冬が問題。冬の熱源をどうするか。そこをきっちり押さえる事で、別段高気密高断熱な発想に拘る必要はありません。新建材で高気密であることがどれほど問題を巻き起こすか。そっちの方が私にとっては問題でした。
- 工事費用。これは確実に高くなります。それは避けられない話です。その為に私たちはキッチン以外の造作家具(造付の書棚や収納の事)をゼロにしました。普通はそこまで割り切る事は不可能だと思いますが、それを切り捨ててでもやっておく価値が土壁にはあります。造付の家具は後からどうにでもなりますから。
- 工期が長くなる。これまた避けられません。荒壁仕上げをしてから更に上塗りをします。養生期間や冷寒時に作業が出来ない事も含めて工期が延びてしまいます。デメリットの3点を徹底的に避けて、短納期高断熱高気密を極めて行くのが新建材の方向性です。それに疑問を抱いたら是非土壁を。