和泉石材店

BLOG 「一言石句」

山奥にてその1

DATE 2022.04.11

kasagatajin.jpg高性能住宅化を国としても推し進める方向になっています。高性能とは、より気密・断熱性能が高く、より少ない空調負荷で暮らせる家を指します。とにかくエネルギーロスは少なく、開口部の断熱性能は以前とは比べものになりません。隙間風なんていう言葉はもう使えない時代になるのでしょう。良いことだれけの時は注意が必要で、デメリットは何かと言えば、流通する木材の種類が極端に偏る事。高気密高断熱化すると、そのほとんどは柱の見えない大壁と言われる納まりになります。すると柱の種類(樹種・等級など)として、節だらけの杉材ばかり選ぶようになります。要するに見えないから構わないという事です。そうなると需要は杉に集中。結果として植林は杉で。早く成長して早く伐採出来れば良い。問題は山のあり方。スギ花粉にとって良くないのは当然ですが、根の浅い杉が増えれば土砂崩れや水害が増えるのです。成長の遅い広葉樹を押しやり、山の景色は激変。

kasagatajinnjya.jpg家を建てる人がそこまで考えて買うとは思えないし、作り手側もそこま考えていないでしょう。山を守るにはコストがかかります。坪単価の叩き合いをしているようなハウスメーカーや建て売り住宅の場合、購入者は知らないうちに加担しているのです。せめて一度建てた家は大切にしましょう。犠牲を払った以上はそういう努力をすべきだと思うのです。
写真は兵庫県神崎郡市川町にある笠形神社付近。ここから50分登山すると本殿にたどり着きます。熊発見注意の写真を見て即退散した我が家。ちなみに笠形神社は姫路城の心柱を採った場所。御神木は長さ42m、周長4mの見事な檜だったそうです。姫路城の大天守3階で継がれた柱ですが、継いだ相手は木曽の檜。何だかご縁を感じます。