家を建てるという事
DATE 2018.12.14
本職は石屋ですが、このブログには暮らしにまつわる全ての事が出てきます。お墓の話をお伺いすると、結局「家」の話になります。私たちが扱う「家」というのは○○家といった、形の無い家の事と、建物としての家という2つの話をします。お墓を建てるとなると家系のルーツや故郷の話、そしてこれからの家のあり方を考える事になります。お墓と言う終の住まいと、今の住まいを考える機会。そこへ私たちが入っていくのです。そうなると私自身の生活感や人生観、そして前述した2つの家の事をきっちり考えておかないといけません。私たちがお話しする方々はほぼ年配の方です。知識だけの薄っぺらな話をしていても、すぐさま見破られるに違いありません。私は家というのは生老病死全てがそこで起こって「家」になると考えています。両親と同居する道を選んだのもそのため。同居の苦労は同居していない人には絶対に分からないと思います。そして娘2人にとって祖父母がそばにいる事の大切さは、その苦労に値するものと思っています。ちなみに今回設計を依頼した裕建築計画の浅井さんも「同居・娘2人」というキーワードを経験しています。こういう所はあくまで経験ありき。
住宅建築の場合、設計者による建物の振れ幅がかなり大きいと思います。以前もこのブログで言いましたが、住宅建築は特に設計者の家庭観が大切になります。家族の間で起こる事は、想像を遙かに超えた出来事が多々あり、出来れば実体験を持った人の方が良いと思います。少なくとも設計者を選ぶ際には家庭観は必須だと思います。家は住むための箱にあらず。一番大切なのはそこに仕掛けられたソフトウェアです。私たちの小さな平屋の家にも我が家の事情がアレコレ盛り込まれています。それを満足した上に新しい建築のあり方も盛り込まれていまして、そこがディテールや構造上の特徴として出てきます。
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型枠を外すと素晴らしい風合いの打設面が出てきました。わざわざ綺麗な型枠を使用せず、荒々しいコンクリート面を期待してそうしたのです。このコンクリートの躯体が外力を全て受け持ちます。この外側に木造の壁がぐるっと囲みます。ですので、この躯体は部屋の中からしか見えません。冬は薪ストーブの熱を蓄熱する為に活躍してもらい、夏は温度の変動を抑える為に活躍。そして災害時〜つまり沿岸部では避けられない津波の時は木造は流され、コンクリート部分だけ残る事になります。そこにまた住むかどうかはその時考えます。
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面白いアイデアやデザインというのは、悪条件が生み出す事が多いと思います。住宅も同じで、私たちの家は、低予算・二世帯・小さな平屋・古い街並み崩壊中・沿岸部・不便な立地など、乗り越えるべきハードルが高かったと思います。しかし今となって思えばそういう悪条件があったからこその建物と言えます。これが絵に描いたような好立地の申し分無い場所であったら、こんなエキサイティングな展開には絶対になっていません。そういう意味ではいつも不便でちょっと困った暮らしをしていると、新しいアイデアやデザインが生まれる基にはなると思います。知多半島は水をはじめとした生活資源に苦労してきた土地です。その苦労もあってかソニーの盛田さんを始め、敷島パンの盛田さん、INAXの伊奈さん、カゴメの蟹江さん、トヨタの石田退三さん、前経団連会長の榊原さんなど、多くの偉人が生まれています。我が家はいつも困っていますので、ひょっとしたら娘2人が世の役に立つ人間になるかも・・・なんて期待をしています。次は中津川から木曽の檜が運ばれてきます。楽しみ楽しみ。
- CAT:暮らし