和泉石材店

BLOG 「一言石句」

歌碑

DATE 2011.04.02

kahi1.JPG先日金沢にある徳田秋聲記念館へ足を運びました。そもそもは歌碑を調べに行ったわけですが、その資料が記念館で手に入りました。日本中に近代詩歌や散文を刻んだ歌碑があるのですが、その第一号は卯辰山望湖台に立つ谷口吉郎設計の徳田秋聲の歌碑です。そして金沢にはもう一つ有名な碑があります。犀川のほとりに立つ、流し雛の形状をした室生犀星(むろう さいせい)の歌碑です。歌碑として本当に素晴らしいディテールとデザインが施されています。台石の黒御影石の僅かなテーパー処理や、目地の取り方、全体のバランス、本当に凄い事になっています。

kahi2.JPGいわゆる石工として優れた人達が、良い設計者かというとそうでもありません。この辺は大工と建築家の関係に似ています。建築家の仕事は、材料、施工、デザイン、それぞれに特化した人材が集まって最高の仕事を目指しています。室生犀星の歌碑は、1つの建築と言える次元のデザインがなされています。いわゆる石屋さんには絶対に不可能な発想でもって設計されています。日本中探せば優れた歌碑は沢山あると思いますが、その中でも谷口さんの作品は格別です。周辺の植栽や背面の壁まで一体としてデザインされており、その空間も含めて構成されています。たった1つの碑のためにもの凄い執念を燃やしています。谷口さんの碑はモチベーション上がります。