和泉石材店

BLOG 「一言石句」

ネタ

DATE 2009.05.06

kaguhon.JPGデザインにはネタがあります。その多くは他の分野のデザインである事がほとんどで、私は同じ業界のデザインは全く見ません。写真の本は「SHAKER STYLE」「Lucie Rie」「DANISH CHAIRS」の3冊ですが、過去の偉大なデザイナーの名作を集めた本をいくら眺めても新しいデザインは生まれません。大切なのはそのデザイナーの考え方を読み取ることです。昨年友人がお墓の注文をしてくれました。デザインは「自由」にとの事で。友人の人格や家族の雰囲気、これからの希望も加味して全高は275mmにしました。これと同じお墓はありません。絶対に。発注してくれた友人の人格がデザインの根本にあるので、同じ物が出る訳が無いんです。あればコピーです。表層の模倣。残念ながら今の石材業界の主流はこれです。「著作権フリーのデザイン集」という意味不明な書籍から「オリジナルデザイン」がポンポン生まれる矛盾。凄い世界ですよ!

douguhon.JPG私は新しいデザインを考える時はまず古い物を眺めます。古い物には先人の知恵がぎっしり詰まっているんです。そこから読み解かないといけないのは「昔の人がどう考えたか」という事です。その結果がたまたま時代を経て価値を生み、その姿形が人々の興味を引いているに過ぎません。「パリと骨董」「ひとりよがりのものさし」「商家の道具」はそれぞれ骨董的価値の高いものが沢山掲載されています。今となっては「かわいい」などと表現されてしまう骨董品もありますが、本来の目的や時代背景を知ると、その合理性やアイデアに驚いたりする事もあります。「温故知新」と言いますが、先人の知恵を毎回拝借しております。新しいデザインとなって生まれ変わらせるが私の楽しみでもあります。

syotaihon.JPGこの写真の本は、現在進行中の大府市内の霊苑の参考資料です。過去のブログで少しお話ししましたが、ランドスケープの要素をかなり盛り込んだ方向にしたいと考えていますが、色々な素材を用いたときのバランスに非常に苦労しています。キーナストとヘルツォークは数々の仕事を一緒にしていますが、その素材使いの巧さは本当に参考になります。素材の使い分けにも「理由」があり、考え方がストレートに表現されているのがよく解ります。その一方で書体の本とは如何に?と思われるでしょうが、霊苑のサイン計画も丁寧に練ろうと考えているんです。大手の石材店が開発している巨大な霊苑とは違って、全てが見渡せる小さな規模の霊苑です。スケール感や数の原理に頼ることなく、小さくても魅力のある霊苑にしようと思っています。もう少しするとWEB上でパースが公開出来るかもしれません。ご期待下さい!