和泉石材店

BLOG 「一言石句」

小田垣商店その2

DATE 2021.09.01

odagaki21084.jpg小田垣商店注目の中庭がコチラ。新しい石材ではなく、程よく経年変化をした素材が庭に生命感を与えます。私たちですとお寺さんの境内を工事するとき、古い石材をいただく事があります。石の風合いは百年くらいかけて出てきます。ですので簡単には手に入らないのです。以前ブログに記したのも大府のお寺様からいただいた石です。瓦もしかり。素材にまつわるストーリーって本当に大事。

odagaki21085.jpg円柱の石材は元々中国の農耕機具との事。よもや日本の山里に運ばれるとは思っていなかったでしょう。隣に茶室があって、この後まだ改修工事が続くそうです。

odagaki21086.jpg
この辺りの石は京都のどこぞの御影石だそうです。玉石も含めて京都のもの。密かに玉石がポイントで、私もいつか良い玉石に出会わないか待ち構えています。出所のはっきりした風合いのある玉石は、もはや絶滅危惧種です。かき集めて置いておくべきもの。我が家の庭にもそれを待っている場所があります。気の長い計画ですが、良い玉石を手放す際はお声がけ下さい。

odagaki21087.jpg
建築も庭も本物の素材を使って出来ています。いわゆる店舗的な感覚で見ない方が良いレベルです。美術館や博物館を鑑賞するように見るべきです。空調ももの凄く良く出来ていて、意識の中から空調が姿を消すよう配慮されています。見た目に奇抜なものはありませんが、それが意図的なのが凄いです。特に素材の吟味はとてつもないレベル。
私たち石屋がじゃあ真似するかと言えばノー。石屋は将来こういった形で使われる新しい石製品を造るべきだと思うのです。苔むした後でも皆から大切にされる石製品を残さないと、次に何にも繋がりません。