和泉石材店

BLOG 「一言石句」

完成写真

DATE 2010.01.30

FLAT3-kanseiJPG.JPG知北平和公園にて、工事過程を公開していましたお客様の石碑が完成しました。竣工写真を撮影しましたのでご紹介します。こちらが全景写真。知北霊園の区画は比較的ゆったりしています。従来の石碑の建て方はこちらの写真に多く見られるような、外柵をぐるりと囲んで、門柱を付けて、入り口に階段を付けるお墓がほとんどです。間口が狭く、段差が至る所に存在するお墓のあり方は、これからの時代には問題となる要素が多いのも事実です。今回の施主様には、間口が広く、段差が少ないプランをご提案させて頂きました。ご覧の通り石碑の重心はかなり低く、他の石碑とは全く異なるコンセプトであることが解ります。左右の石板は墓誌板と塔婆立てとなっており、無意味な飾り等は一切ありません。敷石の割り付けから水勾配まで、永く愛着もをって頂けるように丁寧に考えられております。

FLAT3-UP.JPGこちらはFLAT3という石碑です。見た目にシンプルなもの程難しい事はありません。設計から施工まで、かなり繊細な部分を持った石碑で、無駄な線や装飾は全くゼロ。従来の価値観に縛られない、自由な発想でデザインされています。今回の石種はクンナムというインド産の黒御影石。素晴らしい風合いを持ち、世界的に評価の高い黒御影石で、石碑の雰囲気が非常に引き締まります。ちなみに石碑の一番下の部分はつや消し仕上で、石碑全体が浮いたように見えます。

boshiita.JPGこちらが墓誌板です。スライド式になっていまして、字彫り面だけが取り外し出来ます。普段は石の板1枚に見えますが、なかなか手の込んだデザインになっています。重機を使用せず、私が出向いて取り外し〜設置まで出来るのがポイントです。更にデザインが極めてシンプル。ご覧の通り余分な凹凸が無く、これ以上そぎ落とす要素はありません。ここまで来るとデザインしてる側の執念です。もっとシンプルに、もっと美しく。毎度こんなことばっかり考えています。

jihori.JPG今回の石碑のために用意した書を彫りました。書家に凄い数の書体を用意してもらい、最終的にこちらの書体に決めました。字彫り職人のKさんには毎度感謝しています。ここで眠る方々にも、石碑に写る景色を楽しんで頂きたいと考えています。石碑そのものはただの黒い御影石です。しかしそこへ景色が写り込む事で無限に表情が変化します。ある時は桜の花が、ある時は抜けるような青空が、あるときは自分が写り込みます。お墓の前で手を合わせれば色々な物事が見えてきます。さて私も近いうちに墓参りに行こう。

※一連の工事写真は全て施主様の許可を得て公開させて頂いております。私たちは勝手にweb上に掲載する事はありません。