和泉石材店

BLOG 「一言石句」

エンジニア

DATE 2010.12.10

engine-4.JPG辞書でエンジニアを調べると、工学的な意味での技術者となっています。今回ご紹介するのは、エンジニアの兼坂弘さんの書籍。今は絶版となっていますが、モノ作りに関わる人は一度読むと良いです。内容は車のエンジンの事がもちろん主体なのですが、それ以外の脱線が実に面白い。良いエンジニアというのは人としての魅力が無いと駄目という事が良く解ります。工学的な領域以外の知識が沢山あるのがミソで、エンジンの解説の前の話こそが大切だと思っています。本のタイトルに「毒舌評論」とあるのは、駄目な設計に対する指摘が半端でなく毒舌なんです。とにかく毒を出しまくってケチョンケチョンにしてしまう。その一方で良い設計には素直に賛辞を送る。そんな兼坂さんも2004年にこの世を去りました。車を見る目というよりは、自分が設計をする際の思考プロセスにおいて、この本の内容が何度も頭をよぎります。金属の熱膨張の話なんかは、建築の設計でも大変大切なポイントになりますし、音の共鳴などの話はエアコンのチャンバーなんかの設計にも繋がります。内容は相当に古くなっていますが、中身の面白さは折り紙付きです。いわゆる自動車ジャーナリストを「ヒョータクレ」などと呼び、徹底的に馬鹿にするのも実に愉快。毒出すと直ぐに苦情が出る世の中、なかなかこういう本は出ませんよ。