和泉石材店

BLOG 「一言石句」

久々の海の博物館

DATE 2020.12.23

uminohakubutu201.jpg海の博物館へ久々に行って来ました。訪れる度に新たな発見がある素晴らしい建物。1992年に竣工していますので、かれこれ28年が経過しています。今回は建物の経年変化が印象的でした。時が経つのを拒むような建物もありますが、海の博物館は全体の経年変化が本当に素直で自然。学生時代に見た出来たてホヤホヤの頃より、明らかに今の方が良いとさえ思います。松田研一さん作の赤い鉄扉が印象的。

uminohakubutu202.jpg鉄というのは必ず劣化します。海の近くなら尚更です。そこにステンレスを使わなかったのはこの経年変化を織り込んでいたのかと勝手に思っています。ステンレスのデメリットは変化が無い事。変わらない事が良い事みたいに思うでしょうが、そうじゃない。風合いの変化を積極的にデザインの要素として取り込んでいるのが素晴らしい。塗り重ねられたその鉄扉は、鉄なのか塗料の塊なのか分からない(過言)ような印象です。ゴテゴテなこの凹凸がまた素晴らしい風合い。

uminohakubutu203.jpg個人的にこの収蔵庫が一番好きです。プレキャストコンクリートの構造部材をここで組み立てたと思うと、もの凄い事だと思うのです。そもそも工場からパールロードを使って来るわけで、大きさの制限もかなりあったと思います。エントランスの低さといい、海の博物館の中でも一際設計者の力量が出ていると思います。デザインのヒントが山盛りされた建物です。近々設計者の内藤廣さんの図面集が出版されます。矩計図なんか見たら更に興奮する事間違い無し。