和泉石材店

BLOG 「一言石句」

八勝館

DATE 2022.11.09

hassyoukan20221.jpg所属する国際奉仕団体の夜間例会が八事 八勝館で行われました。2019年に一度夜間例会を開催していますので、3年ぶりの訪問です。八勝館は2020年に9棟の建物が重要文化財の指定を受けています。そこで八勝館で一番見てみたかった御幸の間を見学する事になりました。

hassyoukan20224.jpg宴会担当という役得?で、私だけ先に部屋の観察をさせてもらいました。軽い下見でございます。広角レンズを持ち込んでパチリ。堀口捨己の設計された建物の中でも傑作と言われています。繊細で控えめな設計は、材木商として財を成した八勝館の当主の目にどう映ったのでしょうか。

hassyoukan20223.jpg石屋でもそうですが、石で財を成した人が自邸なんぞ手掛けたら、それこそセンスのかけらも感じない家になるのものです。これでもかという物量を見せつけるための建物。八勝館もそれと同じような事が起こっていたかも知れません。
御幸の間は一見して贅沢な材料を使いまくった印象は受けません。それどころかえらく細く華奢な印象があります。柱の面取りを見ていますと、徹底して軽く細く見せている事が分かります。ただ、よく観察しますと、通常なら継ぎ目だらけになる所が通し材になっていたり、考えられない納まりになっていたりします。
一方で証明は相当に前衛的。ほぼ全域に渡って間接照明になっていて、そこら辺を含めて堀口捨己らしい空間になっています。

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館内には北大路魯山人の器がいくつか置かれています。何だか素敵な器でして、写真を撮った時は誰の作か知りませんでした。後から言われてびっくり。それくらい普通に置かれていました・・。
堀口捨己、村野藤吾、谷口吉郎。この辺りの大御所の建物は全て見ていますが、堀口捨己は基本に忠実だと思うのです。そして粋な設計がされています。これはもう九鬼周造の世界。私は心底感動しました。そして自らの仕事にもこういうセンスでもって打ち込めるよう研鑽せねばと思うのです。