和泉石材店

BLOG 「一言石句」

秘すれば花なり

DATE 2022.11.10

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「秘すれば花なり秘せずは花なるべからず」。芸の極意を説いた世阿弥の有名な一節。先日の八勝館はもちろん、和食を提供するお店全般で器は秘する役割を与えられています。何が運ばれてきたのかさっぱり分からないのですが、その蓋を開けた瞬間に物語がスタートするのです。香りや温度、色、味、景色。色々な情報がそこに盛り込めるのですが、器は極めて重要な役割を持っています。

utsuwa2022101.jpg漆器は熱い汁物でもやけどしません。穏やかな温度伝達ですから温かいものをより長く楽しめます。そして漆器の黒さは唯一無二。料理を前に器が姿を消す。こんな器は無い。

ustuwa2022103.jpg最後に出された椀ものの中身を私は覚えています。最初から見えていたらそこまで印象に残ったかどうかは分かりません。蓋を開けた時の仕掛けが巧妙だったのです。
私たちのお墓も同じでして、これ見よがしな見た目というのは全くもって心を揺さぶりません。言いたい事は秘めておく。それに気がつくのは何年後か。そういう息の長い石製品を世に残したいものです。