ドローイング
DATE 2010.12.01
デザインを練ったりする時に行うドローイング。ドローイングの位置づけは人それぞれ異なり、プレゼン用だったりコンセプトワークだったり、はたまた自らの確認用だったりします。この本には建築家のドローイングが沢山収められており、パラディオやミケランジェロ、ライトやコルビュジェ等々かなりの数の建築家のドローイングがあります。ラフスケッチの段階で建築家の設計プロセスが大きく異なる事が解ります。アアルトは自然を常に意識させるスケッチを描いているし、コルビュジェは実に絵画タッチ。そんな中で最も衝撃を受けたのはミースのガラスの摩天楼計画案。あまりに有名なスケッチですが、あの時代(1921年)に現在のガラス張りの高層ビル群を予想させるスケッチを残しているのです。人の背丈ほどの紙に描かれたその絵は人々を圧倒しました。建築史には欠かすことの出来ないドーイング。ミースは我々の現在の生活を予想していたのかもしれません。デザインと一言で言ってもプロダクトデザインと建築とは、大きく異なる世界がそこにあります。考慮に入れるべき事柄が建築は圧倒的に多く、表現の自由度やスケール、そして社会への影響も極端に大きい。ただ、事の始まりはたった1枚のスケッチなんです。どうみても絵画にしか見えない一枚のスケッチが、後の世界遺産ともなるべき建築だったり。たまに気分転換にペラペラと読むのですが、モチベーションを上げてくれる良い本です。