テイストとは本来、味とか風味の事を指しますが、趣味とか趣向の意味もあります。デザインの仕事で大切なのはこのテイストの確認。これがずれているととてつもない間違いに発展します。絵画のような、作者の意図を表現する場合なら構わないのでしょうが、クライアントがいる場合、その人の意を汲み取る必要があります。要するに相手を理解する行為です。デザインをする人間にとって、これが最も難しいポイントで、デザインとは結局人の気持ちをどれだけ理解出来るかという事にかかってると思います。かといってクライアントの言う事を何でもかんでも聞いていれば良いかというと、決してそうではありません。あくまで正しい方向に導く事が大前提。クライアントが明らかに間違っている場合なんて多々あります。そういう場合に如何に方向を正すかが、デザインに関わる人間の「人間力」ではないでしょうか。

写真の「quintessence」(カンテサンス)は、ニューヨーク在住のプロデューサーが、持つに値する商品を集めた写真集です。これがニューヨークテイスト満点なんです。イギリスでもフランスでもない、アメリカのニューヨークという視点で見た良いモノが集まっています。スタインウェイのピアノからオレオのクッキーやグッドイヤーの飛行船まで、眺めているだけでニューヨークを感じられます。これが「テイスト」と呼ばれるものなんでしょう。自分の関わる仕事は全てクライアントがいます。日々こういう書籍をペラペラめくりながら、引き出しを増やすことが大切だと思っています。