リチャード・レスター監督、リチャード・ハリス主演のパニック映画。若き日のアンソニー・ホプキンスも出演してます。タイトルの「ジャガーノート」には深い意味があって、正しくはジャガンナートとかジャガンナータと言われ、ヒンドゥー教の神の事を意味します。インドではジャガンナートをのせた巨大な山車が練り歩く祭礼があり、救済を求める信者がその山車に身を投げ出す事が多発したといいます。その辺りの話が、イギリスにおいて「ジャガーノート＝止められない恐ろしく絶対的な力」のような意味を持つ言葉になったようです。そんな意味深なタイトルを持つ映画、派手なアクションは一切ありません。ストーリーは実に単純で、豪華客船にある愉快犯が爆弾を仕掛け、それを処理するという話なんですが、背景には複雑な人間心理が描かれています。爆弾処理をする際の線の色とか、実に奥が深く、この映画の最後にカットする線は青と赤。愉快犯が指示する安全とされる色と、リチャード・ハリスが切る色。あとは見てのお楽しみ。この映画のクライマックスは色々な映画やドラマで使われています。最後の駆け引きが人間を写し出す。良い映画ですよ。