私たちのブログには分野を問わずやたらメンテナンスの事が出てきます。あるときは小屋のメンテナンスだったり、車のメンテナンスは頻繁に出ていまして、こんな事や、あんな事もやってきました。こういう事は仕事にも活かされていまして、コツコツ10年位お墓のクリーニング方法を職人さんと模索してきました。クリーニング業者とは立ち位置が違いますので、石屋としてここを手入れしておいた方が良いとか、石種毎に違う研ぎ出しのノウハウなど沢山の経験を積んできました。

薬品の知識も沢山得られましたが、結局のところ一定の薬品以外は使わない方が良いです。薬品の効果を出すための環境は、墓地という不安定な場所(温度や湿度、周囲との距離など)では確保する事が難しいのです。写真は約11年が経過したお墓です。和泉石材店のブログにも何度か紹介させていただいたお墓で、11年間に付着した汚れは相当なものです。黒御影石ですので余計に汚れが目立つのもありますが、黒御影石はそれなりに手を入れれば確実に元通りになります。

先日お墓にデッカイ高圧洗浄機を持ち込んで洗っている参拝者を初めて見ました。今の高圧洗浄機はバッテリー駆動で、バケツの水からも給水出来るようです。ですが周囲のお墓が水浸し・・・・。私たちがそれやったら事故レベルの扱いです。で、私たちが使っているのは特定の小さな場所しか高圧洗浄できない特殊な道具です。周囲を汚さない事はもの凄く重要です。自分さえ綺麗になればという考えは賛同出来ません。

黒御影石の研ぎ出しは特に注意が必要で、砂がかんだ状態で作業すると傷だらけになります。クリーニング業者と私たち石材店の最大の違いはこの「研ぎ出す」過程にあります。もちろん薬品は一切使いません。石を工場へ運ばずに出来る最大限の施工がこれです。使用する砥石の番手を細かく用意し、石種毎に使う砥石を決めています。

更に目地の充填を全て行います。お墓の耐震性等の性能維持にはこれが一番大切です。こちらのお墓は欠損箇所のある目地は全て再充填しました。これだけでもかなり時間を要します。

ここまで磨くのに朝から夕方まで全力です。使った薬品は塩素系の漂白剤のみ。とにかく手の感触を頼りに作業するのです。私自身売りっぱなしの物売りが大嫌いですので、私たちが手がけさせていただいたお墓は、私たちでメンテナンス出来るよう日々研鑽しています。
お墓のお手入れでお困りの事がありましたら和泉石材店で一報下さい。

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