車の中で一番接触している時間が長いのはシートとステアリングでしょう。どんな車に乗っていてもそれは同じですが、ステアリングの感触は個人的に最も重視するところだったりします。ステアリングの感触は、単純に革が巻いてあるとかいう表面上の問題だけで無く、操舵時の手応えや走行中のキックバックやインフォメーションなんかも大変重要です。写真はレンジローバーのステアリング。このステアリングですが、グリップ部分の断面が特殊な形状をしてまして、正面側が平らになっています。通常の円形断面よりもこちらの方が、路面からのインフォメーションを手の甲全体に伝えて来ます。オフロードでは、通常のステアリングの持ち方だと大きな衝撃で親指を怪我してしまうので、写真のように置くことが鉄則らしいです。そして時代に逆行するようにステアリングの径が異様にデカイのです。以前にこのレンジローバーのエンジニアの記事を読みましたが、ステアリングとサスペンションのセッティングに最も時間を費やしたと言っていました。それが頷ける絶妙な具合で、最近の電動パワステでこれに勝る感触を持つものが出来るか疑わしくなります。スポーツカーのようにダイレクトではなく、適度に路面の状況を伝えるステアリング。疲れない車の秘訣はこんな所にもあると思います。