和泉石材店

BLOG 「一言石句」

モノのタッチ

DATE 2011.02.01

drive.JPGかつて一度だけ「送りハンドル」のドライバーに送迎して頂いた事があります。香港のホテルのその運転手は、まさに理想のドライバーでした。ステアリングの持ち手は常に写真の位置。シートの背もたれはホボ直角。そして無口。ダッシュボードの上側には決して手を出さない、丁寧な運転によって車は滑るように走りました。大きく細いそのステアリングは、さぞかし繊細なタッチを持っているのでしょう。車に詳しい方ならお解りかと思いますが、乗せて頂いた車はロールス・ロイスのファントム。それもロングホイールベース仕様。一生涯縁のない車だと思いますが、送迎という短時間ですが乗る機会を得ました。静かさでは多分レクサスの方が静かだし、乗り心地で言うとシトロエンのハイドロと良い勝負。数千万円と言われる価格は一体何処に消えたのだろうと思うでしょうが、この車の何が凄いかというと「タッチ」です。ボタン、シート、フロアカーペットの全てがもの凄くタッチが良い。この車は「良い車」を越えた「良いモノ」だったのです。どんな車でもよく見るとメッキ風とか、本革風みたいなものが沢山使われています。それを徹底的に排除した車がまさにこの車です。触るところ全てがとてつもない品質で仕上げられている。

FLATA-up.JPG個人的な好みはまさにこういう「タッチ」の良い車です。加速がどうとかブレーキがメチャクチャ効くとか、そういう話よりもタッチが大切。何かが突出してたり、何かが極端に駄目だったりするとこういう感触は出てきません。全体の調和を何よりも重視しないと。自分の仕事においてもいつもこういう事は大切にしています。石という素材は幸い天然素材ですので、その魅力を引き出すように配慮すればいいのですが、付属する金物関係はそうはいきません。結局石という素材との調和を、付属する金物まで丁寧に考えてあげないといけません。実際に使っている金物は、それ単体で見ると明らかにオーバークォリティ。でもそれは全体の調和のためにしている事なんです。鞄や時計、カメラにオーディオ、色々なメーカーが色々な設計思想でもって製品を送り出しています。どの製品もそれを担当した人のモノへの拘りが見て取れます。私たちの石碑もそういうモノへの拘りが出てるのでしょう。そういう所を嗅ぎ分けて足を運んで下さるお客さんが増えています。本当に有り難い事です。