2002年にオープンした図書館です。とはいっても普通の図書館ではありません。法定納本図書館と呼ばれ、国内で出版された書籍の収集を行う場所なんです。設計は陶器二三雄さんで、世界コンペを勝ち抜いての採用となりました。この図書館が「第二国立国会図書館」という仮称で呼ばれていた時、某ゼネコンと私が所属していた大学の研究室が組んでコンペにエントリーしました。もちろん負けてしまったのですが、以降これ以上大きなコンペには参加する事はありませんでした。コンペとはいえ、防災計画や免震構造の具体的な提案等もしておかなくてはいけません。例えば、火事だからと言って、収蔵している書籍に水をかけて消火する訳にいかないので、ハロン消火設備が必要になります。更に、蔵書の増加に対応した増築計画を考慮しておく必要があったり、免震構造の提案も必要になりました。結局当選した陶器さんの提案は書庫を地下に配置するというもので、重量物を上階に設置する際に起こる問題を根本的に解決しています。経済的にも、物理的にも最も負担の少ない提案だったと思います。この手の公共建築はやたらと横柄な建物がありますが、この建物は実に控え目。周囲の緑に溶け込むように配慮されています。今回は時間の都合上中に入れませんでしたが、何れゆっくり訪れようと思っています。