和泉石材店

BLOG 「一言石句」

椅子

DATE 2009.05.15

NANA1.jpg先日キタニさんへ引き取りに行った椅子です。
デンマークのデザイナー、ナナ・ディッツェルが1952年に発表したNo,81Easy Chair(ND-01)です。材はブナで仕上はソープフィニッシュです。貼地はクヴァドラ社のナナさんデザインによるテキスタイル、ハリングダルシリーズです。ソープフィニッシュとは、仕上のとき石けんで汚れをとる際に、同時に木肌に石けんの脂肪分がしみこんで汚れにくくする方法です。無垢の木から生まれたテーブルやイスを何代にも亘り、大切に使い続ける北欧の人々の知恵です。

NANA2.jpgNo,81Easy Chairは、ご覧の通り背のカーブがすり鉢状になっているのでどの方向に背を当てて座っても優しく支えてくれます。腰が弱く長時間じっと座れない私にとってまさに理想的な椅子です。座面が広いので小さな子供を持つお母さんにとって授乳もしやすいし、すこし子供が大きくなると一緒に座ることができるそうです。また、正面に座るより、斜めに座ると女性らしさが自然と現れる不思議な椅子です。

NANA3.jpg私(嫁)の椅子のブナ材は、たいへん堅く曲げにくいので扱いにくく、レギュラーモデルではありません。現在キタニさんで取り扱いのあるのはナラ材だそうです。キタニさんの販売店である大阪のロゴバさんにあったモノの貼地を、私の好きなものに変えてもらいました。まさに女性によるデザインならでは。実はこの椅子、我が家では2脚目です。母の還暦のお祝いで贈りました。私自身、母とカブってもいいから欲しかった。その昔、今はもう無い神戸の六甲のとあるお店で初めて見たときから。いつも私を乗せ、共に歳をとり、永く私に愛されていくのでしょう。(参考文献:ナナ・ディッツエル回顧展図録・Kitaniさんで販売中)