昔の道具
DATE 2009.06.20
ギターやチェロではありません。中身はモノの重さを量る道具です。重さを量るだけのためにひょうたん型の凝った入れ物を用意する。当時は貴重な道具だったのでしょう。本名は「棹秤」(さおはかり)という古くは江戸時代から、昭和30年代頃まで活躍した古い道具のようです。
ケースは木の無垢材をくりぬいて作られています。フタをスライドさせると中に丁寧に納められています。棹には目盛りがあるのですが数字がありません。かなり慣れないと使えない印象。分銅等の金属部分にやたらと「カ」とか「大阪」とか「正」などという刻印があります。どうやら当時はこの道具が不正取引の主原因となっていたようです。銀製品の刻印に似た重々しさを感じます。
柄の部分は黒檀のような風合いの材料が使われていたり、目盛りの細工が精巧だったり。ディテールがもの凄く美しく、ついつい見入ってしまいます。道具の成り立ちからして、世界中にこういった道具はあるはずです。しかし、ここまでの繊細さを持ち合わせ、確かなディテールを持った道具はそうそう無いでしょう。ケースの遊び心といい、私たちの先祖は物作りの天才です。もっともっと先人の知恵を学ばなければなりません。