和泉石材店

BLOG 「一言石句」

納骨堂

DATE 2021.01.16

noukotsu21011.jpg高知市の竹林寺納骨堂を見に行って来ました。現在考案中の供養塔の参考になればと思い、三密を全力回避しながらの見学となりました。コロナが無ければちょっとしたツアーでも組んで行くところですが、そんな事も出来なくなりました。こちらの納骨堂は2016年の建築学会賞を受賞していて、設計者は堀部安嗣さん。竹林寺は開山から1300年となる古刹で、隣接する牧野植物園の一部は元々竹林寺境内だったそうです。そんな歴史溢れる竹林寺の境内に納骨堂はあります。ちょうど歴代無縫塔の並ぶ森の墓地の隣に。

noukotsu21012.jpg納骨堂の内部はこんな感じです。納骨堂と聞いてイメージする暗さがまさにそこにあります。陰影の世界が静寂な気持にさせてくれます。中央の通路に対して左右に納骨室がレイアウトされています。RCと土壁と木造。我が家と全く同じテクスチャーでびっくりしました

noukotsu21014.jpg土壁の感じからすると大直しくらいで止めているようなテクスチャーです。RCの力強さとバランスさせようとするとこの位の仕上が妥当なんでしょうか。ちなみに我が家は大直しで止めています。土壁の土はこの敷地の土を使ったのでしょうか?そこら辺に興味があります。RCの躯体との関係は真壁的な納まりを連想させます。

noukotsu21013.jpg内部から外部を見た方が森を感じるような気がします。木造部分は高知県産の木材を使用したそうです。入り口周辺は白河石でしょうか。柱が繊細な印象。森と柱がアスプルンドの森の礼拝堂を思い出させます。それ位雰囲気が良いと思います。
建物を見るとき、石屋としての視点も忘れずにしていますが、今回の納骨堂は石屋的にはちょっとどころかかなり疑問が残っています。使われている石材は大谷石と白河石だと思います。凝灰岩と安山岩。その石でないと駄目な理由が調湿や防火上の話ならともかく、石の一大産地である四国の石を使わなかった理由が分かりません。材木は高知産なのに何で石は東日本の石でまとめてきたのか。テイストの問題で大谷石としたならもうちょっと慎重に石種選びをすべきかと思います。1300年の歴史ある寺院に関東や東北の石が使われている事が後々どういう意味を持つのか。

noukotsu21015.jpg住宅や商業建築では100年先をにらんで設計すれば大丈夫かもしれません。私は石屋になってから設計時に考慮する時間軸は300年程度になりました。考古学的には僅かな時間差かと思いますが、職種や取り扱う素材によって考慮する時間軸がかなり異なります。以前東近江の百済寺へ行った時、信長が持ち去った石の痕跡がしっかり残っていました。そして700年経った石垣は石工の仕事を今に伝えています。こういう仕事を見ていたら、他所から運んだ石を安易に使えないのが石屋としての本音です。テイストや性能・機能で選ぶよりも遙かに優先すべき事があるのではないかと思うのです。というのは石屋の戯言で、もっと気軽に考えないと万人に受ける建物なんて造れやしません。そういう時代であるという痕跡が残ることになるのでしょう。ちなみに張り石の厚みは踏み心地に直結します。30mm,45mm,60mm。私は場所によって使い分けています。石の事を一人でも多くの設計者に知って欲しいと思います。