和泉石材店

BLOG 「一言石句」

京都国立博物館その2

DATE 2022.03.07

ishiari20222.jpg博物館内部の壁面です。綺麗に貼られた(積まれた)大理石。目地の乱れも無く丁寧な仕事。問題はこの大理石の目地部分。近寄って見てみると・・・。

ishihari20221.jpgこんな風になっています。上下の石が互いに重なっていまして、底目地部分が石なんです。この巨大な建物でこの精度の納まりを実現するのがもの凄い事です。石を積む事を念頭に入れた石張り工事。出来ている人はほとんどいません。石は積む素材だという事を再認識する納まり。設計段階で素材の事を相当理解していないと絶対に出来ないのです。素晴らしい建築。素晴らしい石工事。
古都で古い社寺建築を見ていると本当に勉強になります。が、手抜きに近いレベルの工事も混じっています。昨今の石の改修工事はとにかく酷い。石屋の技術伝承や現場の知識が足りていないのだと思います。私が丁場や加工する工場、そして全ての施工現場へ足を運ぶ理由はそこにあります。情報のアップデートは本当に大切。温故知新。特に石は息の長い素材。むかしの石工事をよく観察しないといけません。