ディテールとは細部とか詳細とかいう意味です。デザインにおいて最も重要なのがこのディテール。自分が買うモノも、ディテールの勉強になるものは積極的に購入します。写真はシャツのディテール。たったこれだけの縫い方だけでも随分と他と違うモノです。基本的に値段が上がれば上がるほどディテールの質も上がります。つまりディテール=価値とも言えます。そこに価値を見いだせない人には単なる高い物にしかなりませんが。ディテールとはモノの全てを移す鏡。ミース・ファン・デル・ローエの言うとおり、ディテールに神が宿っているのは間違いないです。

こちらは傘の柄の部分。ヌンチャクみたいに折れ曲がるので、傘が鞄に入っちゃう。折りたたみ傘では駄目で、普通の傘を持ち運びたいという人向けの珍しい傘。ちなみに柄の部分だけでなく先端部分も折れ曲がります。折りたたみ傘との決定的な違いは簡単で、スティックになるかどうかです。傘は細く巻いて、スティックのように颯爽と持ち歩くべきものらしく、そんな粋な振る舞いをするには折りたたみ傘では駄目なんです。そこで登場するのが柄と先端が外れるこの傘なんです。この傘のディテールは素晴らしく、細かな部分の収まりが非常に上手に仕上げてあります。ちなみに英国製です。

<こちらは車のドアヒンジ部分。奇妙な曲がり方をしているのはルノー・アヴァンタイムのドアです。アヴァンタイムは誠にもって不思議な車です。全く売れませんでしたが、インパクトは強烈でした。発売当初試乗しましたが、広大なグラスエリアによる開放感やエギゾチックな雰囲気がたまりません。ドア以外にも車体のいたる所に妙な収まりが潜んでいます。私がクラシックカーが好きなのはこのディテールがすばらしいからなんですよ。ドアノブやシフトノブ、スピードメーターまでがえらく手が込んでいます。現代の車には望み得ない高い密度があります。細かく見ると全く駄目な物でも普通に売れる表層の時代。密度の高い製品を提供できるよう頑張らねば。