「春宵十話」
DATE 2016.02.11
岡潔(おかきよし)の「春宵十話」(しゅんしょうじゅうわ)を読みました。岡潔は数学者ですが、そのエッセイに数学の魅力が散りばめられています。氏が京都大学で教鞭を執っていた頃の教え子の一人に湯川秀樹がいるそうです。数学は知性の文字板に表現する学問・芸術。そんな言葉を岡はのこしています。この本の素晴らしかったのは実は巻末の物理学者である有馬朗人(ありまあきと)が執筆している事です。その結びには岡潔をはじめ、湯川秀樹、朝永振一郎など、一芸に達した人たちの著書を読むことの喜びを伝えています。その一方で、一芸に達しない人々が専門を越えて述べる様々な意見に対し、不快感を示しています。自分の専門とする分野で十分認められる仕事をすべきであり、もしそうでない場合はできる限り主観を排し、かつ肩書きを無くした上で客観論を展開すべきだと言っています。現代で言うところのワークショップなんかがこれに該当するのでしょうが、彼方此方で専門家風の人たちが専門家的なお話をしている集まりの事です。もちろんちゃんとしたワークショップもあります。しかし多くの場合自分の本業で一芸に達してもいないような人が片手間で教えているのが実情です。有馬朗人の心配の通り、インターネットの普及と共に「専門を越えて述べられる様々な意見」が飛び交っています。真実かどうか見極めるのはいつも自分なんです。
- CAT:趣味