先日のクローズアップ現代に女優の鈴木京香さんが出ていました。鈴木さんは建築家の吉坂隆正が設計したヴィラ・クゥクゥを買い取って暮らしています。1957年の作品ですから、既に75年以上経過しています。番組の趣旨は価値のある古い建物の保存をどうするかという話題。ここでいう「価値」が一番の問題で、価値に見合った対価を払う事で商売は成り立っています。現代において建物にとっての一番の価値は「性能」であると誘導しているのは建築基準法です。断熱等性能等級など住宅の性能を数値化し、一定の水準以上の住宅になるよう国が推進しています。数値という誰もが分かる共通言語で住宅を語れるところがポイント。ところが番組が焦点にしている価値は、建築の専門的な教育を受けた人などごく一部の人しか分かりません。そして最後はお金の話に行き着くのです。必要以上の快適性を全ての住まい手にもたらす今の流れ。環境負荷はますます増えると思います。そして後世に残るのものは何なんでしょうか。フィン・ユールのNo,53に腰掛けてインタビューを受ける鈴木京香さん。素晴らしいお金の使い方だと思いました。