大丸心斎橋店その2
DATE 2015.12.13
正面玄関にあるアラベスク風の装飾。当時これを作った職人はもういないでしょう。石材の質も現代のものと比べ、質が高いと言えます。特に内部のトラバーチンは必見。以前中国の大理石工場を見学したのですが、その時に何を見たかと言いますと、トラバーチンの模様(窪み)に樹脂を流し込み、凹凸を無くしたり、欠損部分を埋める作業を延々と続けていたことです。凹凸を埋める理由はそこに汚れがたまるから。トラバーチン本来の表情は著しく失われ、自然な風合いとはかけ離れた別物になっています。億ションなんて言われている建物にバンバン使われている石は殆どがこの類い。いわゆる「ハリボテ」は世の中にどんどん蔓延していて、商業建築はほぼ間違い無くハリボテです。
手間暇かけた仕事やこだわったモノ作りをアチコチのギャラリーで展示したりしていますが、そういう手間暇仕事の究極のモノ作りが大丸心斎橋店には残っています。名も無き名工が手がけた秀逸な仕事。真鍮の照明枠や御影石の彫刻。大理石の象眼細工やあちこちのレリーフ。この建物の外観と一体となって機能する内装があります。もはや現代の建築では置き換える事が不可能なものなのです。立て替えという判断は実に残念でなりません。売り上げ向上を目指しての増床や耐震性の確保。これが経営側の立て替え理由だと思いますが、毎度売り上げ減少の責任を建築に押しつけるのです。他のお店がどう逆立ちしてもかなわない建物を手にしながら、一体何が足らないのでしょうか。足らないのは床面積ではありませんし、耐震性能ではありません。答えは百貨店で買い物をしなくなった人に聞くべき。年内に大阪へ行く機会のある方は是非足を運んで見て下さい。
- CAT:デザイン