竹中大工道具館その1
DATE 2017.04.09
長女が春休みという事もあって、ヨメの実家のある兵庫県へ行って来ました。道中に寄ったのが神戸市にある竹中大工道具館です。文字通り大工にまつわる道具が展示されているのですが、日本の伝統的な木造建築を学ぶ上でも大変有意義な内容です。大工という職業が一般化したのは江戸時代からで、江戸では「デエク」と言っていたそうです。そして設計・監理・構造・積算など、建築現場の全てを習得した人間が棟梁。これからはエライ人の事は全て棟梁と呼ぶ事にします。
個人的に大工の道具で一番の要は曲尺(さしがね)だと思っています。私が建築を学んだ大学でも、曲尺だけで講義が何コマかあった位奥の深い道具です。今では曲尺の使えないというか意味を分かっていない職人が沢山いまして、そんな人ではまともな木造建築は出来ないと思います。竹中大工道具館でも、木造の屋根に関して多くの展示がありましたが、それを支える根本は曲尺の意味だったりします。電卓が無い時代にどうやって寺社仏閣の大屋根を造ったのか。そういう観点で展示を見ていくと面白いですよ。
江戸初期の大工技術書「匠明」に「五意達者にして昼夜怠らず」という言葉が書かれているそうです。その五意を端的に表現した展示がこちら。写真に写っていない5番目は「彫物」です。先にあった曲尺がまともに使える上に、手先が器用で絵的なセンスも求められる。まさに万能選手。今思い浮かべる日本の大工とはちょっと求められている姿が違うかも知れません。電動工具でパチンパチン。接着剤でペタペタ。それはそれで違うスキルが要求されるのでしょうが、昔も今もその道を究めるのは難しい。