秋の気配
DATE 2010.09.19
いよいよ秋の気配がしてきました。先日大府市横根町でお彼岸前の最後の仕事が完了しました。新しいデザインの石碑で、かなり前からご注文頂いていたお客様です。完成までしっかり時間をかけて施工させて頂きました。正面の字はお客様のために書いたものです。もちろん私ではありませんが、身内に書の先生がいるので、大変助かっております。何と言っても石碑のデザインに合わせて書を仕上げられるのはこの上ない幸せ。石碑のデザインを見れば解ると思いますが、FLATシリーズの棹石は、何かが彫られるのを待っているキャンパスなんです。そこには余分な線は一切入れていません。ただただ平らな平面が広がってるだけ。実はこういう石碑がほとんどありません。ゴチャゴチャ意味のない曲線を多用し、デザインの悪さをごまかしてしまう訳です。
もっと沢山の石屋さんがデザインと真っ向勝負して欲しいものです。過去の引用かどうか解りませんが、引用だけのものは「コピー」になります。引用させてもらったなら昇華させてやって欲しい。でないと元になったモノに対して失礼だと思います。建築の世界にいた時は、「この手があったか!」などと、他人の作品にもの凄く刺激を受けてました。またそれが自分の新たなモチベーションにつながっていました。残念な事にそういう刺激は今の石材業界にはありません。石碑の参考書も自分の頭に直接響いてきたのはこの2冊だけ。1冊は以前もブログに書いた世界中の建築家などの石碑を集めた作品集。もう一冊は谷口吉郎さんの作品集。谷口さんは私が最も尊敬する碑のデザイナーであります。建築家の場合、その人の力量は建築以外の知識をどれだけ持ってるかで決まると思ってます。哲学、音楽、数学、物理、古典、歴史等など、どれもがデザインを理解し、創造する上で欠かせない知識になります。建築家として類い希な才能の持ち主は、碑のデザインも超一流でありました。シンプルで控え目。どれも仰々しいものはありません。単純な構成の中にどれだけ意味を込められるか。デザインと戦った痕跡すら見あたらない洗練ぶり。自分の目指す方向はまさにコレ。石の勉強はもちろん必要ですが、違う勉強もしないと出来ない事です。という訳で涼しくなってきたし、もう一度中村さんの述語集でも読もうかな。