和泉石材店

BLOG 「一言石句」

戦争のこと

DATE 2024.04.10

子どもと一緒に広島を巡ったのですが、やはり戦争の疑問がなくなりません。大人になればどこかで知ることにはなるでしょうが、私は祖父という戦争の渦中にいた人がいました。そこから聞く話は何よりもリアリティがありました。そんな祖父はもうこの世にいません。世の中全般にそういう状況なのでしょう。この日は戦争がどうとかあまり子どもに話はしませんでした。私ではなく原爆ドームが伝えてくれたと思っています。それこそ最高の学びなんだと思うのです。

次女がうなだれる横の欄干はイサム・ノグチのデザイン。あの慰霊碑のデザインに何だか共通するものがあります。10年前の弊社のブログにもその辺りを記述しています。慰霊のためのデザインは本当に難しい。私たちの石碑のデザインも毎度悩みに悩んでいます。ちなみに公園内は慰霊碑が沢山あります。まさに慰霊のための公園。

お骨の納められた土饅頭。古墳に近い埋葬形態。徳川慶喜のお墓もこんな土饅頭でした。何故この形になったかは分かりませんが、特定の宗教観から離れた場所にしたかったのかも知れません。

大きな霊園に樹木葬だの供養塔だのが造られていますが、そのどれもが悲惨な設計になっています。設計者の選択も不透明で、気がつけば慰霊にも何にもならない施設ができています。丹下健三のような慰霊碑を全てに求めるのは高望みかも知れませんが、そういう気概を持って打ち込んで欲しいのです。そこに入る人たちの多くは戦争のことをよく知った世代の方々。余りに軽く扱いすぎていると思います。写真の石はもの凄く良い仕事がされています。何が良いかというと、敬意が込められています。慰霊には敬意が必要。