和泉石材店

BLOG 「一言石句」

見所

DATE 2011.04.27

midokoro.JPG物事何でも見所というものがあります。絵画も建築も、作者・設計者の考え方が顕著にあらわれるところがあり、それがデザインの楽しみや醍醐味になっています。今回ご紹介するのは車のデザインの見所に関して。全体のプロポーションが美しいとか、格好良いとかは最低限の話で、その上で更に注視する見所が写真の場所。フロントピラーの付け根です。写真はお手本となる「良い時代」のメルセデスベンツのディテールです。全く迷うことなくスパッと切れ込み、余分な線や面が一切ありません。メッキっぽく見える所は本物のステンレスです。たったこれだけの場所に企業哲学が全て注がれています。このデザインに至るまでに膨大な時間を費やしているのではないでしょうか。個人的にどの車もこの部分をチェックし、デザインの一貫性を判断します。駄目な車はここが本当に駄目駄目。気持ち悪い収まりしてます。ちなみに写真のデザインはブルーノ・サッコが率いていた時代のメルセデス。いわゆるジャーマンデザインと思われがちなあのメルセデスは、実はイタリア人がデザインしてたのです。ジオ・ポンティのスーパー・レジェーラにも通じる彫刻的なデザインは、まさにイタリアのデザインそのもの。ディテールに神が宿るとか何とか言いますが、どんな小さな部品でも疎かにしてはいけません。完璧に近づく努力は毎回繰り返さないと。