和泉石材店

BLOG 「一言石句」

善き人のためのソナタ

DATE 2010.05.01

sonata.JPGベルリンの壁崩壊前の東ドイツを舞台にした映画です。当時「シュタージ」と呼ばれる国家保安省があり、国民を徹底的に監視し、反体制を唱える者を徹底的に排除するのが目的の組織でした。冷戦時には何と27万人もの人員で構成され、国民は過酷な監視に曝されていたようです。この映画の主人公はまさにそのシュタージの一人で、ある芸術家を監視する役目を任される所から物語は始まります。この物語のリアリティは、出演者自身が東ドイツ出身で、当時シュタージから監視されていた事にもよります。主人公の俳優は実際に1人のシュタージ職員から監視されており、何と自分の元妻もシュタージの非公式協力者とされていた事が後に判明します。結局元妻はこれを否定していますが、実際に自分の家族や親しい友人が、シュタージの協力者になっていたケースはあったようです。私たちの生活がこんな状況だったら、もはや誰も信用できません。ストーリー自体は非常にシンプルですが、いつまでも心に残るスルメのように味わい深い映画です。