アジール
DATE 2010.11.23
学生時代に読んだ本ですが、以前引っ越しの時に本ブログでチラッと紹介したのですが、ここで改めて紹介します。アジールとは聖域の事で、私たちの周囲にも沢山あります。この本の中では「カフェ」も現代のアジールとして取りあげています。確かにカフェはある種のアジールなのかもしれません。お祭りなんかもアジールの一種で、普段は車しか走れない道路を人が占拠します。ある種の力が及ばない聖域、そういう場所を人々はいつの時代も求めてきました。この本とセットで読むべきは網野善彦さんの「無縁・公界・楽」という本。網野さんはアジールの事を「無縁」という言葉で表現し中世を分析しています。様々な美術・芸術が生み出された江戸時代に比べ、中世は庶民にとってあまり良い世の中では無いというイメージがあります。しかし、中央の権力に対して「無縁」の立場にある人達は、非常に力強く生きていたとされています。歴史の解説は常に中央を軸に展開します。ところがその周縁を軸に話を進めると、実に面白い事が解ります。現代の物作りにせよ何にせよ、中心とも言うべき都心には何もありません。実際には都市の周縁が物作りの最前線だったりします。都市の構造と密接に関係しているアジール。いつの時代も世の中のブレークスルーはこのアジールから生まれています。
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