フィアット・旧パンダ
DATE 2011.02.13
友人がフィアットの旧パンダを買いました。パンダはフォルクスワーゲンのゴルフと並ぶ、ジウジアーロの最高傑作の1つに挙げられます。当時倒産寸前だったフィアットは開発を外部委託したのです。そこでジウジアーロが主宰するイタルデザインが起死回生のデザインを生み出しました。そのデザインは実にシンプルで、何が凄いのか良く解らないかも知れません。とにかく安くてデザインが良くて便利な車。良いデザインの生まれる背景とは、こういう切羽詰まった状況が背景にあったりします。しかし、出来上がった車はそんな窮地を脱するデザインとは思えない程楽しいものになっています。この車を見るとホントにジウジアーロは天才だと思ってしまいます。少なくとも他のどのデザイナーにも絶対に出来ないデザインなのは確かです。合理的なパッケージングを考えさせたら右に出るものはいません。
極限まで部品点数を減らす事(つまりコストを落とす事)が目的にあるのですが、結果としてこんなシンプルで使いやすいインパネになったのです。最も視線の移動距離の短い位置に全部ボタンが集中してます。まずこの操作で迷う人は少ないのではないでしょうか。タコメーターも水温計も無いメーター周り。まさに潔いデザインのお手本。ちなみにこの車、全てのガラスが平面になっています。フロントガラスまで平面な車って殆ど存在しません。お陰で視界が猛烈にいい。隅から隅まではっきり見えます。
極限の設計がよく解るのがココ。中身丸見えです。普通ならココにカバーをかけて見えなくするのですが、機能的には全く必要ないのです。凄い割り切りだと思うでしょうが、パンダのコンセプト的には当然のデザインといったところ。
エンジンルームがコレ。パンダ45は4気筒OHVのエンジンで排気量900cc。初期のモデルは650ccの空冷でしたので、これでもかなり贅沢?になったのです。スペアタイヤは置いてあるだけ。アレコレ固定用の金具が必要ないので安いし軽いし壊れない。このOHVのエンジン、アクセルを踏むと何やら聞き覚えのあるフィーリングが・・・。そう、自分の乗ってる車と似た所があるのです。今の車とは全く異なる「機械」の香りが色濃く残ったエンジン。モーターみたいに動くエンジンが増えてきたので、余計に魅力的に思えてきます。情緒というか風情というか、そういうものがこのエンジンにはあります。
最後にこの1枚。ロゴが裏表逆になってます。ガラスが平面だと言いましたが、左右対称ならどっちも同じ部品でいける訳で、こういう事になってるのです。あれこれ見てると自分の車に付いてる余分な部品の多さにビックリします。見栄えを良くするために相当多くの部品が使われている訳で、それを取っ払っても機能上何の問題も無いものばかりです。コストをかけて重くして壊れる可能性を引き上げる。安全上必要なものならある程度仕方ないでしょうが、一度こういう無駄を取り払った車を作って欲しいです。シンプルで、使いやすくて、丈夫で長持ち。そういう考え方にメーカーがユーザーを導いて欲しい。モノを作ってる人全てにお願いしたいものです。特に車なんかは数が多いので社会的影響は相当大きいです。新しく出てくる車を見る度にガックリしてるのは自分だけなのかな・・・。