石の器はテスト中
DATE 2020.04.07
石屋になって今更何で石の皿なのか。前回陶芸家の鯉江良二さんに触発された事をブログに記しましたが、そもそも器が好きなんです。大阪の設計事務所に勤務していたときに良く通っていたのが天神橋筋商店街にある「たかま」さんなんですが、毎度美しくも控えめな器に盛られた蕎麦を楽しんでいたのです。そしてある日、店主に器の入手先が曾根崎の「ようび」さんである事を教えられまして、そこから器に興味が出てきたのです。かれこれ20年以上前の事です。他人が作った器を旅先でも買い求め、器生活を楽しんでいましたが、鯉江さんのお陰で器=陶器的な発想から離れた所の選択肢がもうちょっとあっても良いのでは無いかと思ったのです。ガラスや木、金属の器も持っていますが、石の器が手元に無い。何でだろうと。
今回石の器を作ってみて思ったのが、一番のハードルがコストであるという事実。花崗岩を切り出して、日本の職人さんが全部手がけるともはや工芸品的価格に達します。かといって全て海外の生産にしてしまうと品質面で問題が発生するのは分かりきっています。結局どうする事にしたかと言うと、肝心要の仕上げは全て日本でやるという方法。現在インドや南アフリカ産の黒御影石の原石を持っているのは中国です。この流通経路は変えられません。ならば成形等の大きな作業は原石のある中国で行い、最終的な磨きの作業は全て日本でする。更に黒御影石等の艶出し作業に使う薬品を排除する上で、自前で磨きをする事が最も安全だと考えたからです。ちなみに中国加工のテカテカの黒御影石を食器に使うのは避けるべきと考えています。私が現在デザインしているお皿は全て自ら水磨き加工をしています。当たり前ですが薬品処理なんか一切していません。石材だとついついびしゃんや小叩き仕上げをしたくなるのですが、雑菌が繁殖する原因になるのでその手の仕上げは封印。そもそも日用品的に使う器がやたら殺菌消毒が必要なんてあり得ません。自分が器の世界を眺めていて日常の器としてふさわしい石の器を提供出来ればと思っています。とにかく石である事を押し出し過ぎない事が重要。主張は程々に。